同じ時期にゴルフを始めたのに、あっという間に90台で回るようになる人がいます。一方で、何年たっても100の壁の手前で足踏みする人もいます。この差は、どこから来るのでしょうか。
「やっぱりセンスでしょ」で片づけられがちです。ただ、実際には違います。早い人とそうでない人の差は、才能ではなく行動にあります。
先に結論を言うと、お伝えしたいのは次の3つです。
- 上達が早い人は、特別な才能ではなく「直す順番」が違います
- センスや運動神経は、ゴルフではほとんど関係ありません
- 早い人の行動は、今日からそのまま真似できます
「自分には向いていないのかも」と思いかけている方にこそ、読んでみてほしい内容です。
結論:早い人は才能ではなく「順番」が違う
上達が早い人に共通するのは、ミスの原因を順番に切り分けて、直す場所を特定してから練習していることです。特別な才能でもセンスでもなく、この「順番」が上達スピードの正体です。
象徴的な例があります。100がなかなか切れなかった人が、スイングの形を大きく変えたわけでもないのに、原因のとらえ方を整理しただけで、その後3ラウンド目に90台前半で回りました。変わったのはスイングではなく、直す場所の特定のしかたです。
もちろん、誰もが数ラウンドで同じ結果になるわけではありません。ただ、「何年やっても変わらない人」と「数ヶ月で変わる人」の差が、生まれつきのものではなく行動の差なのだとしたら、確かめてみる価値はあると思いませんか。
この記事では、その行動を3つに分けて、今日から真似できる形で説明します。その前に、多くの人の腰を折っている「センス」の話を先に片づけておきます。
センスや運動神経は、ゴルフではほとんど関係ない
ゴルフの上達スピードに、センスや運動神経はほとんど影響しないと考えています。運動選手でもまったく伸びない人がいて、運動が苦手でも上手くなる人がいる。他のスポーツと比べても、ゴルフは圧倒的に「運動神経が効かない」スポーツです。
それでも「センスの差」という説明が広まったのには、理由があります。野球やサッカーのように、動く相手や動くボールに反応するスポーツでは、反応速度や身体能力の差がそのまま結果に出ます。その感覚のまま、ゴルフも身体能力のスポーツだと考えてしまうわけです。
ところがゴルフは、止まっているボールを、毎回ほぼ同じ状況から打つ競技です。速い反応は要りません。求められるのは、正しい動きを特定して、再現できるようにすること。これは身体能力の領域ではなく、原因を考える力と練習のやり方の領域です。
だから、運動に自信がないことは、ゴルフを諦める理由になりません。むしろ、ここから説明する「切り分け」が得意な人は、体力や年齢に関係なく伸びていきます。
早い人がやっている3つのこと
早い人の行動は、突き詰めると3つです。原因を順番に切り分ける、客観の視点を借りる、感覚をつかむ練習をする。主役は1つ目で、残りの2つはそれを支える道具だと思ってください。
その1:ミスの原因を、流れの順に切り分ける
スイングは、始動からテイクバック、トップ、切り返し、ダウンスイング、インパクトへと続く、ひとつながりの流れです。早い人は、ミスが出たとき、症状の場所から直そうとしません。流れの上流から順に「始動は大丈夫か。テイクバックは。トップは」と確認して、最初にズレた場所を探します。
ビジネスで成功している人にゴルフが上手い人が多い、と感じたことはないでしょうか。仕事で問題をロジックツリーに分解している人は、同じ考え方をスイングにも使えます。症状から原因へ、枝をさかのぼる思考がそのまま活きるからだと見ています。
難しく聞こえるかもしれませんが、自分でやるときは紙に書くだけで十分です。「スライスする→軌道が外からか?→切り返しか?→トップの位置か?→テイクバックか?」。疑問を上流に向かって並べるだけで、練習すべき場所が絞れてきます。
その2:客観の視点を借りる——レッスンと動画
早い人ほど、自分の感覚を信用していません。感覚と実際の動きはズレるものだと知っているからです。
一番早いのは、第三者に動きを見てもらうことです。レッスンに通っている人の上達が圧倒的に早いのは、教わる内容そのものに加えて、この「客観の目」が毎回手に入るからだと思います。自分では見えないズレを、その場で指摘してもらえる環境は強いです。
レッスンに通わない場合でも、スマホで動画を撮れば客観の目は作れます。打っては画面で答え合わせをする。この往復を練習に組み込むだけで、感覚のズレは少しずつ修正されていきます。
その3:感覚をつかむ練習——素振りとモノマネ
早い人は、素振りを嫌がりません。素振りはボールの結果に気を取られない、動きの確認に一番向いた練習だからです。ボールがないぶんスイングもしやすく、正しい動きの感覚をつかむ場として優れています。
もう1つ、上手い人の動きを見て真似るのが得意な人も伸びます。自分の体がどう動いているかを感じ取る力は、モノマネで鍛えられるからです。プロのスイング動画を見て、形ではなくリズムだけ真似て素振りする。これも立派な練習になります。
早い人が「やらないこと」
やっていることと同じくらい、やらないことにも共通点があります。代表的なものは2つです。
1つ目は、いい球を打つためのフルショット練習をしないこと。練習場で気持ちよくフルショットを繰り返すのは、練習というより、答え合わせの先送りです。早い人は、確認したい動きのためにハーフショットや素振りに時間を使い、フルショットは仕上げの確認に回します。
2つ目は、理屈を確認せずに信じ込まないこと。理屈で覚える人は上達が早いのですが、ここには落とし穴があります。理屈の解釈が間違っていると、間違った方向へ一直線に進んでしまい、かえって遅くなるのです。早い人は理屈を仕入れたら、動画やレッスンで「その解釈で合っているか」を確かめてから反復に入ります。
よくある質問
レッスンに通えば必ず早くなりますか?
「必ず」とは言えませんが、客観の目が毎回入る環境は、独学より圧倒的に有利です。指摘された1つの動きを次回までに反復しておく使い方ができると、効果はさらに上がります。通えない場合は、スマホでの動画撮影でもある程度は代用できます。
運動経験がまったくなくても大丈夫ですか?
大丈夫だと思います。ゴルフは止まったボールを打つ、速い反応の要らないスポーツです。運動が苦手でも上手くなった人は実際にいます。運動歴よりも、ミスの原因を順番に考えられるかどうかのほうが、上達スピードには効きます。
どのくらいの期間で上達しますか?
始める時点の状態と練習頻度で大きく変わるため、一概には言えません。ただ、直す場所の特定が合っていれば変化は早く、考え方を整理しただけで数ラウンド後にスコアが変わった例もあります。
上達しない人は、何が違うのですか?
早い人の裏返しです。自己流のまま、いい球を打つためのフルショットだけを繰り返している人が多く、症状の場所ばかり直して原因の場所を探していない、という共通点があります。詳しい原因の見分け方は、上達しない原因を診断する記事で解説しています。
まとめ:早さの正体は、才能ではなく順番
上達が早い人がやっているのは、原因を流れの上流から切り分けること、客観の目で答え合わせをすること、素振りとモノマネで感覚をつかむこと。この3つだけです。どれも才能は要らず、今日から真似できます。
結果が出ないとき、才能を疑うのは一番もったいない結論だと思います。疑うべきは順番です。原因を特定してから力を注ぐ。この型は、ゴルフでも仕事でも同じように効きます。
次の練習では、打ち始める前の5分だけ、「自分のミスはどこからズレて始まっているか」を紙に書き出してみてください。それが、早い人たちの入り口です。
この記事を書いた人
ゴルフ歴20年・ベストスコア70。アマチュアゴルファーがうまくなるためのゴルフレッスンを配信しています。

